腎盂・尿管がんについて

監修:帝京大学医学部 泌尿器科学教室 主任教授 中川 徹先生

腎盂・尿管がんについて

監修:帝京大学医学部 泌尿器科学教室 主任教授 中川 徹先生

病期(ステージ)分類

腎盂・尿管がんでは、がん病巣の深さ、広がりによって病期(ステージ)が決まり、どのような治療を行うかが決まります。
腎盂・尿管がんの病期(ステージ)には、早期から進行するにつれて0a、0is~Ⅳ期まであります。
病期(ステージ)は、TNMと呼ばれる3つのカテゴリーの組み合わせ(TNM分類)で決まります。
Tカテゴリーはがんの深さ、Nカテゴリーはリンパ節への転移の有無やその範囲、Mカテゴリーはがんができた場所から離れた臓器などへの転移の有無をそれぞれ評価します()。

表 腎盂・尿管がんの病期(ステージ)分類

日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会・日本臨床腫瘍学会 編.
腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 第2版. 医学図書出版. 2021. p.44-5.より作成

腎盂・尿管の壁は層のようになっており、内側から粘膜上皮(尿路上皮)、上皮下結合組織、筋層があり、筋層の周囲には脂肪組織(腎盂の場合は腎実質)があります。
尿路上皮にできた腎盂・尿管がんは、進行するにつれて上皮下結合組織、筋層へと深く広がっていき、がんが筋層まで広がっていない「非浸潤性乳頭状尿路上皮がん」と、筋層まで広がっている「浸潤性尿路上皮がん」に分けられます。
腎盂・尿管の尿路上皮がんと診断された患者さんの約60%は、浸潤性尿路上皮がんであったことが報告されています1)
腎盂・尿管がんでは、尿の検査、CT検査、尿管鏡検査などによってがんを評価することで治療法を検討します。
しかし、腎盂・尿管がんでは、膀胱がんに比べて組織を採取しづらく、正確な悪性度や深達度の診断が難しい場合があります。

また、近年では、がんに関する遺伝子を調べることで、一人ひとりに合った治療法が見つかることがあります。
詳しくは「がん遺伝子検査とは?」をご覧ください。

  • 1)Colin P, et al. BJU Int. 2009; 104: 1436-40.

がん遺伝子検査とは?バルバーサ®を服用する前に必要な遺伝子検査についてご紹介しています

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