病期(ステージ)分類
膀胱がんでは、がん病巣の深さ、広がりによって病期(ステージ)が決まり、どのような治療を行うかが決まります。
膀胱がんの病期(ステージ)には、早期から進行するにつれて0a、0is~Ⅳ期まであります。
病期(ステージ)は、TNMと呼ばれる3つのカテゴリーの組み合わせ(TNM分類)で決まります。
Tカテゴリーはがんの深さ、Nカテゴリーはリンパ節への転移の有無やその範囲、Mカテゴリーはがんができた場所から離れた臓器やリンパ節への転移の有無をそれぞれ評価します(表)。
表 膀胱がんの病期(ステージ)分類

日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会・日本臨床腫瘍学会 編.
腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 第2版. 医学図書出版. 2021. p.47-9.より作成
膀胱の壁は層のようになっており、内側から粘膜上皮(尿路上皮)、上皮下結合組織、筋層があり、筋層の周囲には脂肪組織があります。
尿路上皮にできた膀胱がんは、進行するにつれて上皮下結合組織、筋層へと深く広がっていきます。
膀胱がんは、がんが筋層まで広がっていない「筋層非浸潤性膀胱がん」と、筋層まで広がっている「筋層浸潤性膀胱がん」に分けられます。
膀胱がんと診断された患者さんの約70%は、粘膜上皮(尿路上皮)あるいは上皮下結合組織にとどまる「筋層非浸潤性膀胱がん」です1)。
筋層非浸潤性膀胱がんの約50%は悪性度が低いですが2)、初回の内視鏡による手術後の30~70%で再発がみられます1)。
筋層浸潤性膀胱がんでは、膀胱の外側にも広がったり、リンパ節や離れた臓器へ転移したりすることがあります。
また、近年では、がんに関する遺伝子を調べることで、一人ひとりに合った治療法が見つかることがあります。
詳しくは「がん遺伝子検査とは?」をご覧ください。
- 1)日本泌尿器科学会 編.膀胱癌診療ガイドライン2019年版[増補版]. 医学図書出版. 2023. p.11, p.28.
- 2)Kamat AM, et al. Lancet. 2016; 388: 2796-810.