がん遺伝子検査の方法
特定の分子標的薬による治療が可能かどうかを予測するために、治療の対象となる遺伝子異常の有無などを調べる検査をコンパニオン診断と呼びます。がんを診断するために採取したがん組織や、手術のときに摘出したがん組織、血液や尿に含まれる細胞やDNAを使って検査します。検査結果により、遺伝子の異常などがあるとわかれば、該当する分子標的薬による治療が検討されます(図1)。
図1 コンパニオン診断と治療法の検討

コンパニオン診断の方法には、特定のがん遺伝子検査とがん遺伝子パネル検査があります。
特定のがん遺伝子検査は、遺伝子を1つずつ調べるため、がん遺伝子パネル検査に比べて少ない組織量、かつ短い検査期間で結果を知ることができます。
がん遺伝子パネル検査は、数十から数百の遺伝子を一度に調べることができますが1)、十分な量のがん細胞を含む検体が必要で、結果がわかるまでの期間も特定の遺伝子検査に比べてやや長くなります(図2)。
図2 特定のがん遺伝子検査とがん遺伝子パネル検査

尿路上皮がん(膀胱がん、腎盂・尿管がん)の原因となる遺伝子異常は複数見つかっていますが、そのうちFGFR3遺伝子は、再発または転移した尿路上皮がん患者さん295人のうち、21.4%の患者さんで異常があったことが報告されています(図3)。
図3 尿路上皮がん(膀胱がん、腎盂・尿管がん)の原因となる遺伝子異常(海外データ)

Ross JS, et al. Cancer. 2016; 122: 702-11.より作成
バルバーサ®は、尿路上皮がん(膀胱がん、腎盂・尿管がん)ステージ4の患者さんが、薬物治療で効果がみられず、がん遺伝子検査によってFGFR遺伝子に異常がみられた場合に使用できる分子標的薬です。
詳しくは「バルバーサ®とは?」をご覧ください。
- 1)国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査 がん遺伝子パネル検査とは
(https://for-patients.c-cat.ncc.go.jp/knowledge/cancer_genomic_medicine/panel_test.html)(2025/2/18閲覧)