がん遺伝子検査とは?

監修:帝京大学医学部 泌尿器科学教室 主任教授 中川 徹先生

がん遺伝子検査とは?

監修:帝京大学医学部 泌尿器科学教室 主任教授 中川 徹先生

がん遺伝子検査とは

遺伝子は、ヒトの体をつくる設計図の役割を担っています。細胞の1つ1つに存在し、遺伝子が持つ情報が正しく細胞に伝わることで、体の各組織や臓器がかたちづくられ、それぞれの機能を果たしています(図1)。
ヒトは皆、約2万~3万種類もの遺伝子を持っているといわれており1)、遺伝子に異常が起こると病気の原因になることがあります。

図1 体をつくる遺伝子

がんは、細胞の遺伝子に傷(変異)が生じることによって発生します。変異はさまざまな遺伝子で起こりますが、細胞増殖の役割を持つ遺伝子と細胞増殖抑制の役割を持つ遺伝子に変異が生じると、細胞増殖をコントロールすることができなくなります。そのため異常な細胞が無秩序に増え、やがて腫瘍と呼ばれる塊となったり、浸潤や転移が起こり周りの臓器に広がったりします。その結果、体にさまざまな悪影響を及ぼすようになります(図2)。

図2 がんの発生と進行

がんの治療法には、手術や放射線療法、薬物治療があり、薬物治療1つとってもさまざまな選択肢があります。がん遺伝子検査により、がん細胞が持つ遺伝子の異常を調べることは、さまざまな治療法のなかから、患者さんにとって最適な治療を見つけることにつながります。このような治療の考え方を「個別化治療こべつか ちりょう」と呼びます。
たとえば、がん遺伝子検査で特定の遺伝子の異常が見つかれば、正常な細胞にも影響する化学療法剤だけでなく、標的となる分子を持つがん細胞への効果が高いがんの治療薬の1つである分子標的薬を使うことがあります(図3)。

図3 化学療法剤と分子標的薬

  • 1)国立がん研究センターがんゲノム情報管理センター がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査 遺伝子・ゲノムとは
    (https://for-patients.c-cat.ncc.go.jp/knowledge/relationship/genes_and_genomes.html)(2025/2/18閲覧)

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